2023年04月16日

2023年ミゾゴイ本格調査の開始にあたって

4月7日にミゾゴイのさえずりを初確認して以来、山は新緑のうっそうとした森に変わりました。
前年繁殖に成功したつがいは再び同じ営巣地に戻る可能性が高く、
早いものではつがいを形成して巣作りを開始していることも考えられます。
昨年来12個の古巣を確認した古巣周辺に、はたして親鳥が戻って来るでしょうか。
いま、ミゾゴイ調査はスタートラインに立って、ウオーミングアップを始めている段階です。
東京・あきる野地域は全国的に見てもまだミゾゴイの個体群が存在しているものと考えられます。
また日本の中でもほぼ真ん中の位置にあり、ここで調査を行うことは意義のあることだと思います。
ミゾゴイの生態をより一層解明して、移動の経路を知ることはたいへん興味深いことであり、
種の保護と生息地の保全の意味からも重要なことだと考えます。

 2023年4月16日 川名国男
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2023年01月28日

やっと、発売になりました「ミゾゴイ」増補版 POD出版

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<写真>発売された「ミゾゴイ」増補版


2023年1月26日、アマゾン通販から、
「なぞの鳥 ミゾゴイ〜その生態と習性〜増補版」が発売になりました。

昨年11月に発売予定でしたが、出版社「22世紀アート」社内で、
コロナ感染が広がったことにより業務が滞り完成が遅れにおくれていました。

お待ちいただいた方にはお詫びいたします。


POD(プリントオンデマンド)出版とは、「オンデマンド印刷技術により、
お客様の注文に応じて1冊からでも迅速に印刷し、出荷します。 このプログラムが適用された書籍は常に出荷可能な「在庫あり」の状態になります。」とアマゾンでは言っています。

POD出版には、今までの出版に比べて製本や印刷の質などでメリットとデメリットがありますが、わたしは記録を半永久的に残すことができるPOD出版を選びました。

こちらから「なぞの鳥ミゾゴイ その生態と習性 増補版」を確認することができます。
 アマゾン本、で検索 
 次に、本アマゾン公式サイトで
 なぞの鳥ミゾゴイ 検索

出版社「22世紀アート」からのコメントです。

[商品について]
―減り続けるミゾゴイの姿は、「自然との共生」とは何かを私たちに問う―
日本の繁殖固有種でありながら数千羽しか生息していないと言われ、生態が謎に包まれているミゾゴイ。しかし近年、その営巣地である薄暗い森は、開発により急速に減少し失われつつある。本書は、長年ミゾゴイを研究し保護活動にも携わってきた著者が、ミゾゴイの生息環境の定義から見えてくる自然保護のあり方やレッドリストの信用性についての問題提起など、ミゾゴイに関する理解不足がもたらす危機的状況への警鐘を鳴らしながら、研究の進展によって得られた新たな知見も加えて綴ったミゾゴイからのメッセージである。人と自然との関わりを考える全ての人にお届けする一冊。

[担当からのコメント]
自然は本来は人にとって厳しい環境の筈ですが、現在の自然保護という言葉の中にそうした「自然」は入っているのだろうかと、本書を読みながら改めて思います。ミゾゴイが生きる世界を感じながら、ぜひ私たちにとって自然とは何かを考えていただければ嬉しく思います。

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2023年01月16日

表・裏表紙カバーだけは確定しましたが・・・冊子「ミゾゴイ」

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<写真>確定した表・裏表紙カバー 
    写真と絵は一対になっています。
    写真のヒナの様子が分かるように裏表紙にイラストで表しています。
 *ミゾゴイの子育ては、雌雄協働で行われます。

発行が出版社(22世紀アート)の都合で遅れにおくれています。
当初昨年の11月が発行の予定でした。
社内でコロナが蔓延したとの理由で業務が滞っているそうです。
2023年1月9日、再校原稿を送りましたが、まだ修正原稿が戻ってきていません。
お問い合わせいただいている方にはたいへん申し訳ありませんが、
しばらくお待ちしていただくほかありません。
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2022年12月24日

冊子「ミゾゴイ」表紙を決定しました 

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<写真> 増補版「なぞの鳥 ミゾゴイ 〜その生態と習性〜」表紙

本日(12月24日)初校の修正が終わって、
出版社「22世紀アート」に初校原稿を送付しました。

表紙だけは先に決定。
巣から首を伸ばしている2羽のヒナが
親鳥からの給餌を待っている写真。

新緑の深い森の雰囲気がよく出ています。
完成は、どうにか1月中になりそうです。


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2022年12月17日

3回目の初校原稿? 冊子「ミゾゴイ」増補版。

出版社(株)22世紀アートから、「3回目の初校原稿」が送られてきました。
初校と言うからには1回目をさしますが、はじめに送られてきた原稿は、
提出した原稿とページの内容が大きくずれて、初校の体をなしていませんでした。
そのことを指摘したら「2回目の初校原稿」が送られてきましたが、これもまたページの割り付けに不備がありました。
そして今回、3回目の「初校原稿」が送られてきたわけです。
 
やればできるじゃん!
3度目の「初校原稿」は、体をなしているので、これなら初校に入れます。
出版社内でコロナ感染者が発生して業務が滞ったのはやむを得ませが、
もともと2か月遅れの初校で、出版はさらに遅れそうです。
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2022年12月10日

初校がやっと上がって来た 「ミゾゴイ増補版」

7月に原稿を提出して11月には発売予定だった
増補版「なぞの鳥 ミゾゴイ〜その生態と習性〜」の
初校が12月8日にやっと送られてきました。

遅滞の原因は、出版社(株)22世紀アートにあります。
社員の大半が新型コロナに感染して重傷者も出て業務が滞ったとのこと。

これから修正・訂正、価格の決定をして、発売は2023年になる見通しです。
プリントオンデマンドとしてAmazonから販売されます。
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2022年11月10日

冊子「ミゾゴイ」遅延のお知らせ

POD(プリントオンデマンド)
『増補版:なぞの鳥ミゾゴイ:その生態と習性』につきましては、
出版社(22世紀アート)の都合により出版が遅延しています。
出版および販売は、12月ごろの見込みとなりますので、お知らせ申し上げます。
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2022年08月05日

こんな表紙になります

IMG表紙.jpg

増補版「ミゾゴイ〜その生態と習性〜」の表紙のイメージです。
原稿は、すでに出版社に提出済です。
10月には発刊の予定です。
約30ページほど増加になります。
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2022年07月12日

ミゾゴイ〜その生態と習性〜 増補版出版のお知らせ

拙著「ミゾゴイ〜その生態と習性〜」を発行してから10年が経過しました。
昨年、絶版になりましたが、ご好評をいただき感謝申し上げます。

ミゾゴイを取り巻く自然環境は日増しに悪化しています。
いっぽう、本書を発行することによって、ミゾゴイにたいする社会の関心は少しずつではありますが高まってきました。
今般、ミゾゴイに関する新しい知見も加わったので、10年の節目に電子書籍(POD出版)で増補版を出版するこになりました。
発行日は、電子書籍は初めてのことなのではっきりわかりませんが、3〜4か月先のことになると思います。

増補版もくじ
・高円宮妃殿下ご撮影のミゾゴイ
・白いミゾゴイ(希少なアルビノーのミゾゴイ)
・ミゾゴイ飼育下における世界初の繁殖成功
(横浜市繁殖センターにおける18年間の飼育記録)
・NHKテレビ ダーウィンが来た! 動物写真家平野伸明さんが撮影したミゾゴイ
・ミゾゴイ沖縄での越冬事例

論 考
・なぜ、ミゾゴイは日本の繁殖固有種なのか
・環境省ミゾゴイ保護方策について
・生息地の新しい概念が必要
・ミゾゴイの普及活動
・ミゾゴイのレッドリストの見直しに根拠なし
・バイオロギング調査が始まりました
・参考



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2022年01月10日

ミゾゴイ 沖縄で越冬確認

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<写真>沖縄で越冬するミゾゴイ 2021年12月19日 上原玄武さん撮影

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<写真 >沖縄で越冬するミゾゴイ 2022年1月3日 市田則孝さん撮影

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<写真> 沖縄で越冬するミゾゴイ 2022年1月3日 市田則孝さん撮影

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<写真 > ミゾゴイ越冬地の生息環境 2022年1月3日 市田則孝さん撮影

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<写真>ミゾゴイ越冬地の生息環境 2022年1月3日 市田則孝さん撮影

ミゾゴイは、夏鳥として日本に渡来し、1〜2の例外を除いて日本でのみ繁殖します。繁殖を終えると沖縄、台湾、中国南部、フイリッピン、モルッカ諸島に渡り越冬するとされています。しかし、越冬地および越冬地での様子など、詳しいことは全く不明です。

このたび、沖縄で冬を越しているミゾゴイの情報が寄せられました。
沖縄県大宜味村にお住いの上原玄武さんが2021年12月19日に撮影に成功し、
連絡を受けた大宜味村在住の市田則孝さんが翌年2022年1月3日に撮影した貴重な写真です。道路わきで何かを啄む姿が映し出され、二人が撮影したミゾゴイは同じ個体と思われます。

撮影された場所は、大宜味村喜如嘉集落の山の入り口で、最後の民家から100mほど離れた道路上です。道路の脇には小さな川が流れ、小川の奥の林床でも採餌している姿を観察されています。警戒心はほとんどなく、車で10mくらいまで近づけるそうです。

越冬地での生活の様子は全くわかっていませんので、どのような環境で、どのようなエサを食べているか、天敵との関係など大変興味深いものがあります。

わたしとしては、送られてきたミゾゴイの写真を見て、ここ数年姿を見ていませんでしたので大変懐かしく思いました。
健康が許すならいますぐ沖縄へ飛んで行き、自分の目で調査したい心境です。
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2019年09月11日

NHK ダーウィンが来た! 放送予定のお知らせです

昨年のミゾゴイが再度、登場予定です。

昨年、東京・奥多摩でミゾゴイの撮影を担当した平野伸明さん
(当ブログではいままでHさんと呼んでいましたが実名としました)が、
今年は多摩川の自然に取り組んでいます。

NHKでは現在、春〜夏をまとめて番組を制作の最中で、
次回、次のとおり9月22日の放送を予定です。

タイトル:ダーウィンが来た! 
        「動物大集合!秘密の多摩川」

放送:NHK総合テレビ 
      9月22日(日)19:30〜19:58
      ※緊急ニュース等で変更となる場合があります。

NHKは、昨年のダーウインが来た「奥多摩・夏編」で紹介した
ミゾゴイの若鳥がダンスをする貴重な映像を再び放映する予定です。

ミゾゴイへの関心が少しでも高まることを期待しています。

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2019年07月15日

消えゆくミゾゴイの営巣地

ミゾゴイにとって恵みの雨が続いている。
ヒナたちは、主食であるミミズやサワガニなどの生き物を多量に食べることが出来る。

7月15日は、わたしにとって記憶に残る特別な日である。
この日の前後2週間くらいにミゾゴイが巣立ちをする時期だからである。
1羽でも多くのミゾゴイが巣立つことを願っている。
東京・あきる野市雨間における営巣地のひとつが消滅しつつある。(記録として残す)

ミゾゴイの営巣地をひとことで言うと、樹木がうっそうと茂り、昼なお暗い森である。
地形的には、谷底、深いV字形の沢・渓流であり、水の流れを中心に広がる土壌が湿っぽい環境である。
植生は、スギ、ヒノキなど常緑樹の高木、ケヤキ、ムクノキなど落葉樹の高木が生い茂る森である。
特にケヤキは営巣木として重要である。また竹林は休息の場として、採餌場として重要な役割を果たしている。

当該営巣地で目に付いた主な植物は次のとおり。
高 木…スギ・ヒノキ・ケヤキ・ムクノキ・シラカシ・シロダモ・エノキ・ミズキなど。
    
中・低木…ヤブツバキ・フジ・コクサギ・アオキ・ヤツデ・ヒサカキ・ナンテン・シュロ・ネズミモチなど。
 
下 草…シダ類・サイハイラン・ヤナギイノコズチ・ヤブミョウガ・シャガなど。

竹 林…モウソウチク・マダケ。

営巣地のほとんどは私有地であることから、宅地の開発などにより急速に破壊が進んでいる。
これは一例だが、日本全国でミゾゴイの営巣地が急速に失われている現実がある。

写真1
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写真2
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写真1・2
かつてのミゾゴイ営巣地。10年前まで営巣していた。
沢の片面の斜面の樹木をすべて伐採して切り開かれた状態。
森の構造がよく分かる。沢は、暗渠化されているので見えない。
マダケの竹林の高さをはるかに超える高木のケヤキなどが沢を覆っている。
右端に住宅を建てるために立ち上げた擁壁がわずかに見える。

写真3
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沢の周囲は高木がうっそうと茂り内部はトンネルのように暗い。

写真4
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沢に下りる細い生活道路があり対岸に抜けている。
こうした道は、ミゾゴイにとってミミズなど採餌場として有効に利用されてきた。

写真5
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森の中にはケヤキの高木が幾本もあり、スギ・ヒノキが沢を覆うように生えている。
実際に3年続けて巣を掛けたケヤキ。Y字型の枝が沢底に向かって何本も伸びている。

写真6
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中・低層部は、シュロ・アオキ・ヤツデ・ヒサカキ・サカキ・ヤブツバキ・コクサギなどが茂っている。

写真7
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白い小さな花をつけたヤブミョウガ。
下草には、シダ類、ヤナギイノコズチ、ヤブミヨウガなど湿っぽい土壌の日陰に育つ植物が生育している。

写真8
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沢の周辺はスギ、ヒノキ、ケヤキなどの大木が幾本も生育しその中を生活道路が通っていた。
周囲の環境は開発され、残念なことにごみが捨てられ、ゴミ捨て禁止の看板が立てられている。
営巣地を保全するためには、近隣住民の深い理解と協力が不可欠である。

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2019年04月06日

在庫切れとなりました  ミゾゴイ 〜その生態と習性〜 

紫の鮮やかなミツバツツジの花が咲きだす季節になりました。
この花が咲きだすと、南方から渡って来たミゾゴイが囀りを開始します。

さて、「ミゾゴイ〜その生態と習性〜」は、アマゾン通販のみで販売してきましたが、残すところ5冊となりました(2019年4月6日現在)。

ご購入いただいた方に改めて感謝いたします。
また、カスタマレビューで好意的なご講評をいただいたことに感謝いたします。

この本は、編集からレイアウトまですべて自分一人で行い、2012年5月15日に自費出版しました。
なお、再販の予定はありません。
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2018年12月17日

NHKBSプレミアム放送決定のお知らせ

NHK「ダーウインが来た!「生き物新伝説 密着!東京の大自然」。
これまで、秋、冬、春、夏編の4回にわたって放送されてきましたが、
NHKBSプレミアム「ワイルドライフ」で、1年分の総まとめが次のとおり放送されます。

12月24日(月・祝) 20:00〜20:59
NHKBSプレミアム

ワイルドライフ
「東京 奥多摩
   密着1年 知られざる大自然に迫る」

「ダーウインが来た!」よりもじっくりと、ご覧いただける作りになっています。

番組に登場するミゾゴイは、1~2の例外を除いて、世界で日本でのみ繁殖することが知られています。個体数は世界でわずか1,000羽以下と考えられます。

ミゾゴイは、日本の気候、地形、植生にもっともよく適応した鳥であると考えています。
ミゾゴイこそは、日本を代表する鳥であると思います。

これまでの放送を通して、ミゾゴイが少しでも社会に知られた鳥になり、
その生息地が保全されることを願っています。
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2018年12月11日

NHKBS放送のお知らせです

NHKダーウインが来た!生き物新伝説 「密着!東京の大自然」
これまで、秋・冬・春・夏編の4回にわたって放送されてきましたが、
次回、NHKBSプレミアム「ワイルドライフ」で1年分の総まとめが放送される予定です。

現在のところ放送予定は次のとおりです。
2018年12月24日(月)
20時〜、NHKBSプレミアム
なお、表題など詳細はまだ決まっていません。

ミゾゴイに関しては、ヒナが巣立った後、
親から必死に食べ物をねだるシーンなどを紹介したあと、
「若鳥が最初は親鳥を頼りながらも、次第に独り立ちしていく」という シーンで締めくくられる予定です。

ここで、ミゾゴイ幼鳥の独り立ちの時期について少し説明しておきましょう。
結論から言いますと巣立ち後、
親から餌をもらう(巣外給餌)は、せいぜい2週間程度です。

渡りの時期には、当然、独り立ちしています。
独り立ちの時期は、長くても1か月(8月)くらいでしょう。
(繁殖の時期が何らかの理由でずれた場合は9月〜ということもあります)

タカ類などは、巣立ち後も長い期間を親鳥から餌を運んでもらいます。
ミゾゴイの巣立ちした幼鳥は、2週間くらいで親と離れて自分で餌を捕ります。

巣立ちの時期(7月)には、ミミズ類を始め餌となる生き物が豊富にいるので
自分で餌を捕ることが十分に可能です。

採餌の方法も、タカ類などと違って何度でも餌の捕り直しができます。
私の観察では、親鳥でさえ捕食の失敗を繰り返して、
9回目にやっと一匹のミミズをとらえたことがあります。

幼鳥の死亡率は餌以外の理由でかなり高いと考えられます。
オオタカ、クマタカ、カラスなど空からの天敵、
テン、イタチ、キツネ、アライグマ、イエネコなどの地上の天敵、
車との衝突、電線に絡んで骨折するなど事故による死亡などがあります。
こうした苦難を乗り越えたものだけが渡りの時期を迎えます。

ミゾゴイは、世界で日本でのみ繁殖することが知られています。(2~3の例外を除いて)
日本を代表する鳥と言ってよいでしょう。

ミゾゴイは、日本の気候(夏暑く雨が多く餌となるミミズ類などいきものが豊富)、
地形(急峻な地形からなる川・渓流)、植生(針葉樹と落葉樹の混交林)、
(地形と植生からなる環境がミゾゴイの営巣地)にもっともよく適応した鳥であると私は考えています。

これまでの放送を通して、ミゾゴイが少しでも社会に知られた鳥になり、
その生息地が保全されることを願っています。

(川名国男)
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2018年11月24日

ダーウィンが来た! ミゾゴイ

トリミングIMG_0001.jpgミゾゴイ.jpg
<ミゾゴイ 幼鳥>

ダーウィンが来た!生きもの新伝説
「密着!東京の大自然
  夏の奥多摩でお宝を探せ!」

11月25日(日)19:30〜19:58
NHK総合テレビ

内容:
東京・奥多摩の大自然に密着するシリーズの第4弾。
夏限定のお宝探しに挑戦!

水辺では、奇妙なダンスを踊る珍鳥に遭遇。
正体は、世界にわずか1000羽といわれる希少な鳥(ミゾゴイ)。
清流で、ルビーのようなお宝を抱えたサワガニを発見、
カニの中では型破りなその子育てに密着(サワガニ)。
さらに、日本有数の巨木の宝庫である森では、
真夏に光る謎の木を大捜索!すると現れたのは
まるで宝石のように光り輝く生きもの(タマムシ)。
森の王者・クマタカの成長も目撃!(クマタカ)
1年がかりの密着取材完結編。

ミゾゴイは日本を代表する鳥です。
しかし、トキやコウノトリを知っていても、ミゾゴイを知る人はごくわずかです。

ミゾゴイがトキやコウノトリのように社会で普通に知られる鳥になり、
ミゾゴイの生息地が保全されることを願っています。

ミゾゴイの生息地には、日本在来の生物が豊かに生息しています。
ミゾゴイを保護することはこれら在来の生物を保護することになります。
そのことが、日本の生物多様性を守ることになります。
(川名国男)
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2018年11月05日

NHK放送予定のお知らせ

NHKダーウィンが来た!奥多摩・夏編」の放送予定のお知らせです。
2018年8月12に放送された「春編」に引き続き、「夏編」の放送が現在のところ次のとおり予定されています。

11月25日(日)NHK総合テレビ 19:30〜
 ダーウィンが来た!いきもの新伝説
     「密着!東京の大自然 夏の奥多摩でお宝を探せ!」

夏編は、水辺と森でそれぞれ生きものたちの暮らしを見ていくオムニバス的なつくりになっています。ミゾゴイを筆頭にサワガニ、タマムシ、アオバズク、クマタカが登場します。

ミゾゴイに関しては、巣立ちした若鳥が狩りを試みる様子と、親鳥にさかんに食べ物をねだる様子(餌乞い行動)をメインに紹介されています。

若鳥の餌乞い行動がとても面白くインパクトがあり、番組冒頭のオープニングで、音の演出を加えて印象的な登場シーンになっています。

また、このダーウィンが完成したあとに、1年間の撮影をまとめて、
NHKのBS放送「ワイルドライフ」で放送が予定されており、そこで改めてミゾゴイについてじっくり紹介する予定(放送日はまだ未定)とのことです

わたしは、ミゾゴイの生態の一面を日本(世界)で初めて明らかにしました。
そして、貴重なミゾゴイの生息地を保全するためにいろいろな活動をしてきました。

そこで、まず大切なことは、ミゾゴイという希少な鳥をトキやコウノトリのように社会に広く知らせることです。今回のNHKでの放送もそのひとつです。

撮影は、動物カメラマンの平野伸明さんです。
番組最後のエンドロールの取材協力に「川名国男」と表示されます。


<写真 ミゾゴイ幼鳥の餌乞い行動>
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ミゾゴイの餌乞い行動説明
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2018年09月26日

「ミゾゴイ」横浜市繁殖センターで、4年間で9羽の雛が誕生

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<写真>
「ミゾゴイの保全に向けて 長期飼育と飼育下繁殖への取り組み」の記事が
ZOO横浜2018年No.106 AUTUMN 横浜市動物園友の会発行機関紙に掲載されました。

執筆者の白石利郎さんから、その機関紙が送られてきました。
大変貴重なミゾゴイの繁殖記録ですので、ここに記事をご紹介します。

横浜市繁殖センターでは、2013年からミゾゴイの飼育・繁殖に取り組み、2015年に日本で初めてミゾゴイの繁殖に成功しました。
(よこはま動物園ズーラシアでは2004年10月より保護されたミゾゴイの飼育実績があります)

飼育を担当したのは、繁殖センターの白石利郎さん。
白石さんは、これまでにカンムリシロムク、カグー、ホオアカトキなど希少種の繁殖を手掛けてきた方です。

内容は、5ページにわたり、これまでの飼育経過が分かりやすくまとめられています。
今後、野外でミゾゴイの保護を進めていくうえでも、かけがえのない資料です。

記事によりますと、2013年から飼育・繁殖に取り組み、2015年に初めて繁殖に成功して、その後4年間で9羽の雛が誕生しました。

この間、エサの種類や与え方、ペアリング、巣材や巣の場所、雛の保護、冬の温度調節など、
多くの試行錯誤や傍からは分からないご苦労があったことでしょう。

白石さんがむすびで書いているとおり、「今後は野生ではなかなか調査することができないミゾゴイの生態や行動に関する研究や、地域と連携した保全活動などとの協力」が重要だと思います。

今後の研究で、ミゾゴイの外見上の雌雄の違い、求愛行動、雌雄の鳴き声の違い、囀り行動などが明らかにされていくことでしょう。

ミゾゴイは日本の繁殖固有種であり、ミゾゴイを保護するためには生息地の保全が不可欠です。
ミゾゴイの飼育・繁殖の成功が継続することにより、社会におけるミゾゴイへの関心が高まり、生息地の保全が進むことを期待しています。


<参考>
ミゾゴイに関して、よこはま動物園との連携記録。

「よこはま動物園ズーラシア動物病院内におけるミゾゴイの非繁殖期における活動調査結果」拙書「ミゾゴイ〜その生態と習性〜」(p142)

「当ブログ」
2012年6月19日「ミゾゴイを保護した場合は野毛山動物園にご連絡を!」
2013年2月14日「ミゾゴイの魅力と生態」ミゾゴイ講演会
2013年3月6日 「野毛山動物園のミゾゴイ」
2015年8月6日 「巣立ちに感動しました〜横浜市繁殖センターのミゾゴイ」
2015年7月5日 「ヒナがふ化 横浜市繁殖センターで」
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2018年08月09日

ミゾゴイ巣立ち、赤飯で祝う 映像は8月12日「ダーウィンが来た!」で 放送

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<写真>
苔むした渓流でエサを探すミゾゴイの親子。手前が親鳥、後ろにいるのが巣立ちした雛(幼鳥)で、翼をふるわせ餌乞いをしている場面。2018年7月14日、Hさん撮影(写真の転用を禁止します)


きょうは、ミゾゴイの撮影に携わったHさんはじめ3人の労をねぎらった。
雛が巣立ちに至り、撮影に一区切りがついたらお赤飯でお祝いをする約束をしていた。
拙宅で赤飯弁当を食べながら、ミゾゴイへの思いを語った。

Hさんは、今年の春に103か所もの沢を探索した。
そして、古巣や使われていない巣はいくつか見つけたが親鳥がいる巣に行きついたのは2つ。
親鳥がいる巣を確認することがいかに大変なことか。

動物カメラマンとしてのプロ意識もあるが、何よりもミゾゴイに出会いたいという執念からの、ものすごい努力の結果である。

簡単に巣のある場所を案内しろ、などと言うお気軽な人が少なくない中で、Hさんの努力には頭が下がる思いである。

今回のK巣では5羽の雛が無事に巣立ちしたが、巣立ちに至るのは容易なことでない。
カラスやタカ類などの天敵からの捕食、アライグマのような新しい天敵の出現、人間の影響などがある。

そうしたことを乗り越えて、巣立ちに至ったのできょうの赤飯となった。
赤飯で祝うとは、ちょっと古風に思うかもしれない。
これにはそれなりのわけがあったが別の機会に・・・。

今回、「ダーウインが来た!」の番組でミゾゴイを放送していただくことは、日本の渓流を代表するミゾゴイへの理解が深まり、ありがたいことである。

ただ、当該番組では、一般視聴者が飽きることなく面白く見てもらうことが優先されるため、ミゾゴイの生態を十分に紹介するには限界がある。
Hさんたちの撮影努力が十分に反映されるとは限らない。

これからもミゾゴイが広く社会に知られた鳥になり、生息地の保全が少しでも進むことを願っている。

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2018年08月02日

ミゾゴイの撮影を終えたHさんの感想です

撮影スタッフ代表のHさんは、「4月から7月末までの4ヶ月間、長い長いミゾゴイとの時間でした。私の鳥歴でもこんなに姿が見えず、難しかった鳥はいません。また、ぶつけ本番も厳しかった。フィールドとミゾゴイの関係を含めた地理場所の事前知識準備が無いのも厳しさに拍車をかけました。そんな中にあって、川名さんのご本と、川名さんの存在は、私の唯一の支えでした。始めの2ヶ月は、とにかく自分の目で見て、歩いて、それから川名さんにお会いしたい、と決めていました。まさか皆古巣とは思いもしませんでしたが、それも今となってはミゾゴイの厳しさ難しさを語るよい思い出です。日本の森の風土、気候、文化をも象徴する貴重で、素晴らしく、人知れず健気なミゾゴイに接することが出来ました。ミゾゴイの素晴らしさを多くの人たちに伝えて行ければと思います」と、感想を述べています(8月2日、原文のまま)。

K巣における巣立ち後の最後の幼鳥の確認日は2018年7月26日。
5羽の雛のうち、最後に巣立ちした雛が7月13日。
最後に巣立ちした雛だと仮定すると、約2週間、巣があった周辺の沢に滞在していたことになります。
K巣の場合は、営巣環境が比較的良好に保全されていたので、他に移動することなくこの場所に留まっていたものと考えられます。

映像は、8月12日(日)NHK放送「ダーウィンが来た!」春編と夏編(放送日未定)で放送されます。
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