2018年07月13日

最後の1羽が巣立ちしました

巣は、カラになりました。

きょう、ついに最後の1羽が巣から離れました。
枝伝いに移動して近くの枝に止まりました。
ヒナは、盛んに鳴いていましたが、親鳥の姿は見えませんでした。
近くの枝で親から餌をもらっていたのでしょう。

先に巣立ちした4羽のうち数羽のヒナ(幼鳥)は、巣の近くの沢に下りていました。
そこへ、サルの群れがやって来たので驚いて木の枝に飛び立ちました。

撮影を続けてきたHさんは、今までの苦労を振り返って、
「ついにここまで来ました。ミゾゴイは、本当に素晴らしい魅力溢れる鳥です。
そのような生き物と長い間時間を共有できて、感無量です」と言ってきました。

親鳥がいる巣(カラの巣は時々見つかる)の探索から始まって、
ヒナが巣立つまで見届けることは本当に大変なことです。

5羽のヒナ全部が無事に巣立ちするまでには、天敵からの攻撃や捕食が一番気がかりでした。
もちろん、巣立ち後も天敵に狙われて捕食されることがあります。

天敵には、ハシブトガラス、オオタカ、クマタカ、テン、アライグマ(外来種)、イタチ、アオダイショウ、サルなどが考えられます。

空からの天敵は防ぎようがありませんが、
Hさんたちは地上から巣へ侵入する天敵への手立てを早くから講じていました。

Hさんたちは、春編の続編を予定して、巣立ち後の幼鳥を追って撮影を続行しています。

(K巣 このブログはHさんの報告をもとに備忘記録として作成しています)
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2018年07月12日

あと1羽、まだ巣立ちしていません

7月12日午後3時現在、巣内にはまだ1羽のヒナが残されています。
最後の1羽が巣立つのは、あと1~2日でしょう。

7月8日に3羽が巣から離れました。
翌日の9日にはさらに1羽が巣から離れました。

巣を離れたヒナたちは、
巣の近くの沢などで親鳥から餌をもらっていました(巣外給餌)。

最後に残されたヒナは、
最初にふ化したヒナに比べて4~5日遅れてふ化したのでしょう。

撮影を続けているMさんは、
巣立ちした2羽のヒナ(幼鳥)が親鳥から餌をもらっていたと話していましたが、
持ち帰ったビデオを見ると、なんとヒナは1羽でした(Hさんからの報告)。

なぜ、・・・?

撮影者は、1羽のヒナが翼を交互に持ち上げる餌乞い行動を2羽のヒナに見間違えたのです。
撮影者までが見間違えてしまうミゾゴイの餌乞い行動は、本当に興味深いです。

(K巣備忘記録 7月11日で春編は締切 巣立ち後の撮影は続行中)

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2018年07月10日

最後の1羽はまだ巣立ちません

5羽のヒナのうち、いちばん小さい1羽がまだ巣立ちしていません。

ミゾゴイのヒナは同時ふ化ではなく、日にちを置いて別々にふ化します。
1羽だけ、まだ巣立ちに必要な期間を経過していないのでしょう。

親鳥は、7時から15時まで巣に戻らなかったようです。

(K巣 このブログはHさんからの報告をもとに備忘記録として作成しています)
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2018年07月09日

4羽が巣立ち、残り1羽

本日、4羽のヒナが巣立ち、巣内には最後の一羽が残りました。
7月10日を巣立ちの日と見込んでいましたので、ほぼ予定通りです。

あと1羽残されていますが、ここまで来るには本当に大変なことでした。
残りの1羽が無事に巣立つことを期待しています。

(K巣 このブログはHさんの報告をもとに作成しています)



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2018年07月08日

3羽が巣立ちしました

5羽の雛のうち、3羽が巣から離れました。
巣の近くの沢に降りて林道や沢を歩く姿が目撃されています。

親鳥は、巣を離れた雛(幼鳥)にも給餌(巣外給餌)を行い、
巣内に残る2羽の雛にも給餌を行っています。

ふ化間もない時から撮影を続けているHさんも、
ここまで来たことに「感無量です」と喜びを隠せません。

(K巣 このブログはHさんからの報告をもとに作成しています)

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2018年07月06日

巣立ちまでもう一息です

5羽のヒナのうち1羽が巣から少し離れた枝に移りました。

親鳥は、巣にいるヒナに優先的に給餌します。
巣から離れたヒナも餌をもらうため巣に戻ります。
巣に戻らなくなればそのヒナは巣立ちです。

巣のヒナは、1羽減り、2羽減り、最後に1羽が残り、
そしてすべてのヒナが巣から離れていきます。

最後の1羽が巣立つまでは、あと数日かかるでしょう。

(K巣備忘記録)
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2018年07月04日

巣立ちまであと6日

5羽のヒナたちは、
いちばん心配した天敵に襲われることなく、巣立ちまであと6日に迫りました。

親鳥はよく頑張りました。
巣に戻ると精悍な表情を見せています。
赤い羽根がきれいです。

ミゾゴイはこんなにも赤い鳥なのか、と改めて思います。
ヒナたちの、タカのような鋭い目つき、キリリとした表情はたくましく成長した証です。

ミゾゴイは、まさに日本を代表する鳥です。

ここまで頑張った親鳥にお疲れさん、頑張りましたねと言いたいです。
巣から飛び立ち、巣に戻らなくなった時点で巣立ちでしょう。

あと、6日頑張って欲しいです。  (K巣備忘記録)

posted by mizogoi at 21:25| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月30日

巣立ちまであと10日

5羽のヒナは、無事に大きくなっています。
巣の下は、ヒナたちのフンで真っ白でした。
フンは、ヒナたちの成長ぶりを物語っています。

巣立ちまで、あと10日、まだ10日ある。
タカ類などの天敵に捕食されることなく巣立を迎えてほしい。
posted by mizogoi at 21:45| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年06月21日

巣立ちまであと20日

5羽のヒナが全部巣立ちするのは7月10日の予定。
あと、20日ほど。タカ類などの天敵に襲われることなく無事に巣立つことを祈るばかりです。

(野外 2018年6月21日、備忘記録)

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2018年06月17日

ミゾゴイの巣に思うこと

ミゾゴイの巣は、枝が二股に分かれた、Yの字形の部分に掛けられています。

巣は、宙に浮くように二股の枝に乗っているだけで、枝から落ちそうに見えます。
また一見、粗雑に作られた巣のようにも見えます。

しかし、簡単には落ちません。
二股の枝に、巣材が立体パズルのように絡んで、組木細工のように作られています。

繁殖期には、強風や台風・豪雨がありますが、
これらに耐えて、古いものでは、4~5年経過しても、枝に残っている場合があります。
ミゾゴイの巣は、日本の気候に適合して、よくできた巣です。

調査のために巣を探索していると、
古巣がときどき見つかりますが、親鳥がいる巣はめったに見つかりません。
古巣が5~6個見つかっても、本物の巣は1個ぐらいでしょう。
ミゾゴイの営巣を確認することは、本当に大変なことです。

ミゾゴイは近年、激減しています。
ミゾゴイは、日本の気候、風土によく適合した鳥です。
ミゾゴイこそ、日本を代表する鳥だと思います。
そして、ミゾゴイの生息環境は、日本の生物多様性の原点であると考えています。

ミゾゴイがトキやコウノトリのように、
社会に広く知られた鳥になり、生息地が保全されることを願っています。

2018年5月から調査を復活しています。
posted by mizogoi at 21:27| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月05日

ミゾゴイの囀り情報(仙台市)

仙台市(青葉区)にお住いの山内雅人さんから、ミゾゴイの囀り情報の提供がありました。囀りおよび撮影は、2018年4月29日19時ごろ。

正確な鳴き声の日時、録音、場所(位置情報)、シルエット写真が添付されていましたので、記録として留めておきます。(ブログ掲載は山内さんにご了承済)

録音から、囀りはミゾゴイの鳴き声であることを確認しました。
写真は、シルエットですが、姿かたちからミゴゴイであることを十分に確認することが出来ました。また、屋根の上で鳴いていることがはっきりとわかります。

環境の変化にも触れていることが大変参考になりました。
3年前まではなかった太陽光発電所が出来て来ないだろうと思っていたところ、再びやって来たとのことです。

IMG_8707.jpg

屋根の上で囀るミゾゴイ(山内:20180429)



なお、山内さんには3年前にも情報をいただいています。
2015年4月28日 21時ごろ、29日18時30分ごろ鳴き声確認(録音添付)。

posted by mizogoi at 11:03| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月16日

なぜ、ミゾゴイ生息地の保全は重要か

このブログは、2008年2月から開始しました。

表題の「ミゾゴイの生態と習性〜種の保護と生息地の保全について考える〜」は、
ミゾゴイの生態調査に始まり、生息地の保全を図る活動を行ってきました。

2005年からミゾゴイの生態調査を始め、その結果を2012年5月に「ミゾゴイ〜その生態と習性〜」に概要をまとめ発行しました。

生息地の保全につきましては、2017年6月に環境省自然環境局野生生物課から、「ミゾゴイ保護の進め方」が公表されました。発行までの経過については、このブログで詳しく述べてきました。内容につきましては必ずしも十分とは言えませんが、ミゾゴイの保護について、国がはじめて指針を示したことに大きな意義があります。

これで一応、表題の目的は達成したことになります.

しかしながら、生態の調査はまだまだ解明することが残されています。
生息地の保全については、具体的には何も進んでいないと言ってよいでしょう。
生息地の保全は、スタートラインに立ったにすぎません。

私自身、健康を害して昨年来、ミゾゴイの調査と営巣地の保全活動を行っていません。

ミゾゴイの調査には過酷なものがあります。
営巣地の調査は、ケヤキが落葉した12月ごろから翌年の3月いっぱいまで行いました。ほとんど人が歩かない場所が対象です。急斜面から転げ落ちそうになり、滝つぼに足を滑らせることもありました。時には、沢でイノシシが土を掘り返して遭遇寸前のこともありました。

生態調査は、4月から8月まで行いました。スギ花粉が煙のように飛散するところでの調査は、花粉症のわたしにとってつらいものがありました。営巣地の調査では、毎日の写真とビデオ撮影を行いました。そして、その内容を解析して記録に残しました。

詳細は省略しますが、これ以上続けると健康上、生命に直接かかわることになり、調査と保全活動を休止せざるをえませんでした。

なぜ、これほどまでにしてミゾゴイを守ろうとするのか。それはミゾゴイが珍しい鳥だけではありません。
ミゾゴイは日本を代表する鳥だからです。

日本の気候は温帯湿潤気候です。四季の変化が見られ、雨量が多く夏は高温多湿です。
この気候により、豊かな自然がはぐくまれています。

そしてさらに、日本は山国であり、無数の急峻な川あり、渓流があり、そこに生息しているのが日本の繁殖固有種のミゾゴイです。

ミゾゴイの生息地は、湿潤な(しめっぽい)薄暗い林や森であり、日本本来の自然環境です。そこには在来の多種多様な動植物が生育しています。ミゾゴイの生息地を保全することは、日本の生物多様性を保全することになります。

ミゾゴイは、身近な生活環境に生息しています。
一方で、そうした環境の川や沢の営巣地の開発が進んでいます。

全国的には、リニア新幹線工事のような大規模工事により、生息地の沢や谷が埋め立てられようとしています。

「ミゾゴイの生息地を守る」には、強い意思と情熱が必要です。
一人の人間が立ち上がることから始まりました。

ミゾゴイの保護活動に対して、日本自然保護協会以外の日本の名だたるいくつもの既成団体はあてにできないばかりか、その組織に安住している人の中には時に足を引っ張る人さえいました。

自然は人間だけのものではありません。
ミゾゴイをはじめ生物にも生きていく権利があると考えています。

皆さんの中から、ミゾゴイ生息地の保全活動を進める機運が高まることを期待しています。

2018年1月16日 川名国男
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2016年06月15日

「ミゾゴイ保護方策」は使いよう

2016年6月13日、環境省は「ミゾゴイ保護の進め方」(ミゾゴイ保護方策)を公表しました。この保護方策は、これまで述べてきたとおり必ずしも十分な内容ではありませんが、公表の意義は大きく、ミゾゴイの保護にとって大きな前進です。ミゾゴイ保護方策は、使いようが大事です。

環境省のこれまでのミゾゴイ保護方策への取り組みに感謝します。今後は、分かりやすいリーフレット等の作成・配布など、より一層ミゾゴイの周知を進めることを期待しています。さらに重要なことは、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)による国内希少野生種に指定をすることです。

公表の意義
・ミゾゴイを世の中に広く知っていただくきっかけになる。
・ミゾゴイが人知れず絶滅していくことを避けるための一歩となる。
・全国的にミゾゴイ営巣地(生息地)の保全活動が進展する。

当該保護方策に法的規制はありませんが、環境省(国)が保護方策を策定したこと自体、ミゾゴイ保護の必要性を認めています。このことが各地でミゾゴイの保護・営巣地の保全活動を実践するうえで有力な手段となります。

ミゾゴイ営巣地の保全を進めるうえで、以下の点もご参考にしてください。

・ミゾゴイは日本を代表する鳥であること。
・国内種がいちど絶滅したトキやコウノトリの二の舞いにならぬようその教訓を生かすこと。

・ミゾゴイ営巣地は、日本の生物多様性の原点であること。(ここでは多くの生物名を記載することはしませんが、たとえば鳥に限ってみると、アオゲラ・オシドリ・オオコノハズク・フクロウ・アオバズク・アカショウビン・ブッポウソウ・オオタカ・ツミなど多くの鳥類が繁殖しています。このほかに植物、動物など多種多様な日本の在来生物が豊かに成育しています)

・ミゾゴイに関しては、国の絶滅危惧レッドリストのカテゴリーよりも、各地の実態を重視して保護・保全活動を進めていただきたいと思います。




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2016年06月09日

ミゾゴイ保護方策パブコメの取り扱いについて環境省と意見交換

2016年6月8日、午後、環境省ミゾゴイ保護方策パブリックコメント(パブコメ)に寄せられた意見の取り扱いをめぐって、環境省自然環境局野生生物課の担当係長と意見交換を行いました。

環境省は、予定通り6月の中旬に公表したい意向に変わりはありませんでした。
4月にミゾゴイ保護方策を担当した職員が人事異動で交替となり、引き継ぎ事案でもあるのでスケジュール通り早く公表したいとのことです。パブコメ意見に対するまとめは座長とメールでやり取りをして環境省としての対応をまとめたとのことでした。

一日も早く公表することを望んでいるのは誰よりもわたしです。しかし、このまま公表したら10年後、20年後に禍根を残すことになりますので、その対応について意見を述べました。

パブコメ意見に対する私の見解は、前回の当ブログ「環境省ミゾゴイ保護方策 パブコメに寄せられた意見に対する私的見解」のとおりです。パブコメの意見には保護方策の根幹にかかわる部分で重要な指摘が多数ありました。わたしは、パブコメの意見を尊重して、保護方策の項目を再構築して、分かりやすい文章で書き直すことを望んでいます。

環境省はパブコメ意見の対応を座長と相談したと言いますが、これほど根幹にかかわる重要な意見があるのにもかかわらず、座長とだけ、しかもメールのやり取りだけで済ませていいのでしょうか。座長は、環境省に「お任せします」とのことだそうです。

昨年11月、環境省から突然、26年度から3年の予定であった当該検討会が27年度で打ち切られた経緯があります。平成26~27年度では肝心の保護方策についてはほとんど検討されて来ませんでした。しかし、仮に平成28年度も検討会が引き続いて行われたとしても結果は同じだったでしょう。

その理由は、ミゾゴイへの理解と認識が十分でなかったことにあります。
検討会の委員は6名います。うち4名が鳥の関係者です。あとの2名は土壌動物の専門家と生態学の専門家です。土壌動物が専門の金子先生は、横浜で営巣していたミゾゴイの営巣地に足を運び自分の目でミゾゴイを観察されました。環境省の担当者は、実に熱心に保護方策に取り組みました。

しかしながら座長は、ミゾゴイの営巣を見たこともなく最後までミゾゴイ営巣地の環境をイメージすることができませんでした。サギ類の「専門家」でありながら、ミゾゴイの営巣を見たことがないばかりか、わたしの質問に対し「私は単独で行動する鳥は好きでないので、アハッハッハッ…」で終わってしまったのが残念です(2016年2月9日)。

検討委員は、ミゾゴイの生態について一定の知見を持ち合わせることが必須です。それ以上に大切なことは、社会とミゾゴイとの間でどのような軋轢があるか、ミゾゴイの保護と営巣地を保全するためにはどのよう対策が必要か、ということを真剣に考える責務がありました。

〜U類でありながら保護方策を策定する意味は〜
パブコメに寄せられた意見で、TB類に指定されている鳥が多数いるなかでTB類からU類にランクが下がって増加しているはずのミゾゴイの保護方策をなぜ今策定するのか、という意見がありました。

現在、ミゾゴイがレッドリストのカテゴリーでU類でありながら、環境省が保護方策の策定に取り組んだことは当を得ており、ミゾゴイの保護を進める上で画期的なことだと思います。

それは、環境省がレッドリストのカテゴリーよりも実態を優先してミゾゴイ保護の緊要度が高いことを認めているからです。(ミゾゴイに関して、平成24年度のレッドリストの見直しでU類に変更されたときの根拠がなかったことはこれまでにも述べてきました)

環境省が平成26年度、27年度の2年間でミゾゴイ営巣の調査をした結果は全国で3巣(2営巣地)でした。このことからもレッドリストと現実との間で齟齬があることが分かります。仮に、全国で1,000羽のミゾゴイが生息しているとします。単純に500つがいがあって500営巣があるとします。委託事業者が全国の組織や地元の野鳥関係者を使って2年間で3営巣(2営巣地)しか確認できなかったことが現実です。

専門家といえども営巣を確認することは大変難しいことです。しかし、それにしても2年間の調査で3営巣(2営巣地)というのは、一体どうしたことでしょうか。それは、急速にミゾゴイの営巣地が消失し個体数が減少していることが考えられます。

環境省は、近日中にミゾゴイ保護方策(ミゾゴイ保護の進め方)を公表する予定です。保護方策は決して十分な内容とは言えませんが、環境省(国)がミゾゴイの保護に取り組んだことは大きな前進でもあります。公表後は、その活用方法について、みなさんと一緒に考えていきたいと思います。



posted by mizogoi at 21:26| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年05月28日

環境省ミゾゴイ保護方策 パブコメに寄せられた意見に対する私的見解

ミゾゴイ保護方策(案)に関するパブリックコメント(パブコメ)の募集が平成28年4月29日に締め切られ、12通45件の意見が寄せられました。意見には、単に文言等の修正にとどまらず、保護方策の目的、具体的指針の明確化、分かりやすい文章構成など保護方策の根幹にかかわる重要な指摘が多数ありました。

環境省は、これらの意見を「今後の業務の参考とさせていただきます」などと形式的に流しているが、パブコメに寄せられた意見を真摯に受け止め再度の検討が必要であると考えます。

環境省に寄せられたみなさんのご意見をここに掲載することはできませんので、許される範囲でパブコメ意見を読んだ私の見解を公開します。なお、平成28年5月28日、同主旨の見解を環境省に提出しました。

パブコメに寄せられた意見に対する見解は以下のとおりです。
なお、意見の項目ごとに見解を述べたため、内容が一部重複します。

…貴見のとおり。
ミゾゴイ営巣地を保全するためには、保全すべき範囲を明確にすることが必要である。営巣地の範囲は、地域の状況に応じて地形条件・植生条件から検討を行うことが極めて重要である。ミゾゴイ生息地の地形、植生のいくつかの事例を明示することが必要である。

…貴見のとおり。
ミゾゴイの属性に配慮して、生息環境の保全を計る場合は、たとえば渓流単位で保全するなど面的な広がりをもって保全することが望ましいなどを明記する必要がある。
なお、「ミゾゴイの属性」について明記する。

…貴見のとおり
事業者に判断を任せるだけでは指針とは言えない。この点についてはこれまでの検討会でほとんど論議されなかったので、再度検討する必要がある。これまでの営巣地の消失事例から指針を示す必要がある。
実効性ある保護策にするにはどうしたらよいか、法的拘束力を持つことが理想であるが、それが無理な場合でも、それに準ずる指針と言える考え方を体系的に示すことが求められる。

…現状の営巣環境をできる限りそっくり残すことが原則である。そのための方法を指針として示すことが当保護方策の使命である。 営巣地の改変を伴う場合は、ミゾゴイの属性に配慮した個別の対応が必要である。

…貴見のとおり。
伐採本数の問題ではなく、どこをどのように保全するかという考え方を示すのが指針である。一部に手を加えることによって生息環境全体に影響があることも明記する。

…貴見のとおり。
事業計画の段階で生息状況を調査することが望ましいが、事業実施中の場合は生息調査などを実施して、保全すべき範囲を明確にすることが重要である。

…貴見のとおり。
ミゾゴイの生息調査には、いくつかの方法があるのでそれらを整理して項目ごとに分かりやすく体系的に記載する必要がある。

…ミゾゴイが囀る時間は限られているとは言えない。日没から日の出まで連続して囀る。時には同一のソングポストであるいは複数の場所に移動して囀る。
ミゾゴイの生息確認には、囀り調査は有効な方法であるが、これに過信することなく目視による確認、営巣確認など他の調査と合わせて実施することが求められる。

…当保護方策(案)に記載された調査方法は、不完全・不備と言わざるを得ない。
…ミゾゴイの生息および繁殖調査の方法として、囀りの調査は補助的なものと理解すべきである。目視による観察、営巣確認が大切である。

…囀り調査以外には、目視による観察、採餌行動、フン、抜け落ちた羽毛の採取など地道な観察が有効である。囀り調査の結果を時間的、空間的な解析を行い個体の行動や個体数を推測する。

…貴見のとおり。
ミゾゴイの生態と習性が理解されていない現状では、営巣木だけ残せばよい、ということになりかねない。ミゾゴイの生息条件について十分な説明が必要である。
営巣地の保全については、さえずりデータのみを重視することなく、ミゾゴイの属性から地形と植生の面を重視して保全策を策定することが重要である。

…貴見のとおり。
当保護策の目的および、何をどうするか「指針」を体系的に明確に明示する必要がある。営巣地の範囲の事例を示す必要がある。具体事例が無理であれば、営巣地周辺の地形・植生を一体として地域の土地利用、人間活動等を考慮して保全するなど、営巣地保全の考え方を示す必要がある。

…ミゾゴイの保護は生息地の現状を保全することが基本である。造成により裸地が広がっているということであれば、言葉の説明よりも実態がどうなっているか見極めることが大切である。このような事例にならないように、ミゾゴイの生息環境とはどのようなものか理解されるよう明記することが必要である。

…事例は、当該環境を見ないと断言できないが、ミゾゴイの採餌環境を創出したとは考えられない。ミゾゴイの生息地・営巣地を保全するには、里地里山の一般的な概念からではなく、ミゾゴイの属性に配慮することが重要である。
なお、「ミゾゴイの属性」については当保護策の重要な説明事項である。

…今残されている営巣環境を保全することが基本である。あらたに生息環境を創出する考えは保護方策からみたら邪道である。また、ミゾゴイの属性であるたとえば湿潤な環境を好むことなどを重視して保全することを明記する。

…貴見のとおり。
古巣の探索は、新たな営巣地を開発するには有効な方法である。
古巣の確認は重要な情報であり、営巣地又は営巣に準ずる地域として取り扱うべきであることを明記する。

…貴見のとおり。
ミゾゴイ保護策定の背景と目的を分かりやすく体系的かつ具体的に全体の構成を再構築する必要がある
平成24年度のレッドリストの見直しでミゾゴイをTB類からU類に変更したことには根拠がない。この問題については、すでに公開質問状により環境省(平成25年)および鳥類部門のレッドリストの取りまとめをした藤巻祐蔵氏(平成26年)に根拠となる資料・論文の提示を求めたが何も示されなかった。ミゾゴイへの認識不足と危機意識の欠如から安易なカテゴリーの変更が行われたと言わざるを得ない。ミゾゴイは激減しているのが実態であり、カテゴリーよりも現実を優先して早急に保護方策を策定して絶滅を予防する必要があった。

…ミゾゴイは日本の繁殖固有種である。急速に営巣地が消失し個体数が激減しているのが実態である。まだ、個体群が残されている今、トキ・コウノトリの二の舞いにならないように種の保護と生息地の保全を計ることが喫緊の課題である。また、ミゾゴイの生息地には日本の在来生物が生育していることが分かってきた。ミゾゴイの保護は、日本の生物多様性を守ることにもなり、この意味でも当保護方策を発表することに大きな意義がある。


…貴見のとおり。
保護方策のいちばん重要な具体的施策が具体的に書かれていないことを認める。当保護方策の目的を明確にして、体系的に再構成して最初から書き直す必要がある。
ミゾゴイの生息地(営巣地)が消失している現状を分析し、ミゾゴイを絶滅から守るためにはどうしたらよいか、保護方策を具体的に示す必要がある。
生息環境の消失又は改変にはどのようなケースがあるか、そのケースごとの具体的施策の考え方を示すことが指針である。

…ミゾゴイが置かれている現状から見ると保護方策の発行はむしろ遅きに失したといえる。ご指摘のとおり当該保護方策(案)は、重要な事項で不備が多数あり、全体を再構築して検討を加え書き直す必要があると考える。
このような結果になった理由は、当保護方策の策定は、当初、平成26年度から3年計画の予定であったが、27年度で打ち切られた。肝心な保護方策についてはほとんど検討されることなく27年11月から4カ月足らずでまとめることになった。しかしそれだけではなく、全体的にミゾゴイへの認識不足と危機意識が乏しかったと言える。28年度内の再作成と公表を目指して環境省(国)が発行する保護方策として恥ずかしくないような指針を示すことが今後の選択の道である。

…ミゾゴイのレッドリストのランクの位置づけと現実の生息状況が大きく乖離している。平成24年度に見直しが行われたレッドリストの変更には前述のとおり根拠がない。レッドリストのカテゴリーの変更による現実との矛盾は、こうした経過の説明がないままに一般世間および関係者に浸透している。ミゾゴイの保護方策の策定は、このレッドリストのカテゴリーと切り離して考える必要がある。

…貴見のとおり。
国が発行する保護策としては内容が不備である。現在のまま発行したら、国はこの程度の認識かと将来に禍根を残すことになる。ご指摘のとおり環境省(国)が発行する資料の重みを自覚して内容を再構築して書き直しが必要である。
保護方策発行の目的は、ミゾゴイを広く世間に周知して、生息(営巣)環境の消失と絶滅を防止することである。

…貴見のとおり。
人間活動によるミゾゴイへの影響について体系的な再構築が必要である。保護方策発行の目的のひとつは、生息地・営巣環境の消失の防止である。第一義的には、鉄道建設、ダム建設、道路建設、擁壁の建設など大型公共事業、残土の廃棄による生息地・営巣環境の破壊それに続いて比較的小規模の駐車場、資材置き場、住宅・店舗等の建設に伴う開発等による生息地・営巣環境の破壊がある。二義的な面として、無秩序なアウトドアーレクレーション、野鳥写真愛好家のモラル、無知な鳥類愛護活動による捕獲、人工林・二次林等の管理の問題がある。

…貴見のとおり。
文章の分かりやすさが大切である。もう一度、内容を検討して体系的に書き直すことが必要である。

…貴見のとおり。
開発や整備等の事業を行う場合のミゾゴイ生息地への配慮は、当保護方策の重要な部分である。環境省(国)が発行する指針であることを自覚してその影響力を考え、体系的にもう一度整理して書き直すことが必要である。

…写真や図表を掲載したら、何を言いたいのか説明・解説が不可欠である。
当然、補足説明が必要である。

…このことは検討会でもたびたび発言してきたが、ミゾゴイの保護及び生息地の保全に里地里山の管理方法を当てはめること自体、合理性がない。ミゾゴイの属性を十分に理解して独自の保護方策が必要である。それを策定することが当保護方策の使命である。

…ミゾゴイに関して、レッドリストのカテゴリーが変更された理由には根拠がなく、レッドリストに関わった「専門家」と称する人たちのミゾゴイに対する無関心さと理解不足が原因である。このためミゾゴイがおかれている現状とカテゴリーの間に大きな乖離が生じた結果となった。(この問題については前述のとおり)

…貴見のとおり。
現実的に営巣地の破壊事例を見ると、ミゾゴイの保護を進めていくためには、開発計画の段階で農林部局、建設部局、自然保護・環境保全部局との情報共有および調整が重要であるから、このことを明記する必要がある。
法的規制はできないものの、それに準ずる「指針」を示すことが策定の目的である。この点からもう一度内容を見直す必要がある。
自治体と地元の環境保護団体等との連携も重要であることを記載することが必要である。

以上です。

なお、ミゾゴイ保護方策検討委員の一人として、これまでの検討会で発言した要旨は当ブログに掲載してきましたのでご参照願います。



posted by mizogoi at 22:49| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年04月29日

赤い表紙のミゾゴイ保護方策検討会の報告書が発行されました

27年度報告書 ミゾゴイ保護方策 25%.jpg
<平成27年度ミゾゴイ保護方策検討委託業務報告書 平成28年3月環境省自然環境局 発行>

平成27年度 環境省ミゾゴイ保護方策検討委託業務報告書が環境省自然環境局から平成28年3月に発行されました 

赤い表紙は、ミゾゴイの緋色でもあります。
ミゾゴイは今、人知れず絶滅への道を進んでいます。
この報告書により、ミゾゴイの現状への危機意識が高まることを期待しています。

報告書は、環境省が平成26年度から取り組んできたミゾゴイ保護方策検討会の27年度分をまとめたもので、前回の26年度版とあわせて最終報告書になります。

内容は、
第1章…要約 第2章…業務概要 第3章…業務の進め方 第4章…既存文献調査
第5章…ミゾゴイ繁殖期生息状況調査 第6章…ミゾゴイ保護方策検討会

資料編 
ミゾゴイ保護方策検討会(第2回)議事録 資料
ミゾゴイ保護方策検討会(第3回)議事録 資料
ミゾゴイ保護方策検討会(第4回)議事録 資料「ミゾゴイの保護の進め方」

これさえあれば、ミゾゴイが保護されるというものではありません。
今後は、この報告書をいかに活用していくかが大事です。

いままで、関心が薄かったミゾゴイとその保護について環境省(国)が取り上げたことに大きな意義があります。

議事録には、何が問題になったか、どのようなことが検討されたか、経過が記録されています。とくにわたくしの発言どおりにはなかなか進みませんでしたが、その考え方を各地における保全活動の参考にしていただきたいと思います。

本日、4月29日に「ミゾゴイの保護の進め方」に関するパブリックコメントの募集が締め切られます。この後、パブリックコメントに対して必要に応じて検討会が開催され、修正が可能であれば修正され、正式に公表されます。


posted by mizogoi at 23:55| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月31日

環境省 ミゾゴイの保護の進め方(ミゾゴイ保護方策)パブリックコメント募集中

平成28年3月31日16:00 「ミゾゴイの保護の進め方(案)」(ミゾゴイ保護方策)が公開されました。これは環境省が平成26年度から2年をかけ取り組んできた方策のまとめです。

この(案)に対し、本日から平成28年4月29日(金)までの間、意見を募集しています。

世間にほとんど知られていないミゾゴイの保護方策を環境省が策定し、公表することは大変大きな意義があります。今後は、この「方策」をいかに活用していくかが重要になります。

ミゾゴイの保護と生息地の保全を進めるため、ぜひ皆さんのご意見を環境省にお出しください。

環境省HP 
報道発表資料 3月31日発表
13行目「自然環境」ミゾゴイの保護の進め方」

または直接
http://www.env.go.jp/press/102340.html





posted by mizogoi at 21:28| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミゾゴイと江戸家猫八さん

鳥が大好きだった江戸家猫八さんが、3月21日、進行胃がんのため逝去されました。
訃報のお知らせに接し、病気とはいえ急に亡くなり、誠に残念です。
心からご家族の皆様にお悔やみ申し上げます。

猫八さんとは、竹林の中に身を潜め、二人でやぶ蚊に刺されながら、ミゾゴイを観察しました。
たびたび、東京・あきる野市に足を運びミゾゴイを見て、黒茶屋で食事をしたことなどを思い出します。

ご冥福をお祈りします。




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2016年03月23日

ミゾゴイ保護 スタートだ! 〜環境省ミゾゴイ保護方策検討会を終えて〜

環境省ミゾゴイ保護方策検討会は、平成26年度に開始され、当初3年の予定であったが環境省の意向で1年早められ、平成27年度中に取りまとめ、平成28年4月以降に公表の運びとなった。

ミゾゴイの保護、生息地(営巣地)の保全は、いまスタートラインに立ったばかりだ。
世間にまったく知られていないミゾゴイに保護の手が加わることになった。ミゾゴイの保護方策ができたからといってすぐに保護されるわけではないが、ミゾゴイが世間に知られることの意義はきわめて大きい。保護方策を通じてミゾゴイが社会一般、行政、開発に携わる方々に広く周知されることを期待している。

おもえば、今から12年前、生態が不明であったミゾゴイの調査を開始し、その一面を明らかにしてきた。2008年2月9日からブログ「ミゾゴイの生態と習性〜種の保護と生息地の保全について考える〜」を開設。2012年5月には拙著「ミゾゴイ〜その生態と習性〜」を発行。その間にも営巣地は次々と消失した。

2012年(平成24年度)には、地元東京・あきる野市で「渓流保全」の名によるミゾゴイ営巣地の破壊事件が起きた。ミゾゴイの生態の一面を明らかにしつつ、営巣地の保全の必要性を各方面に訴えてきた。2013年には、環境省にレッドリストの見直しに関する公開質問状を提出した。こうした経過があって、環境省は2014年(平成26年度)にミゾゴイ保護方策検討会を発足させた。

環境省は、この課題に実に熱心に取り組んだ。ゼロからスタートしてよくここまでまとめたと思う。検討会でいちばん苦慮したことは、6人の委員及び事務局(環境省)の中で生息地(営巣地)をめぐって共通認識を持つことが難しかったことだ。委員のうちミゾゴイの営巣を複数個所で観察した経験者は2名だけであったことから、ミゾゴイの生息地(営巣地)をイメージすることができなかった。最終的にはまとめることができた。

保護方策は、法的拘束力を持たないが、その影響力は大きい。環境省(国)から示されミゾゴイ保護の進め方の公表により、ミゾゴイへの関心が高まるきっかけにもなる。活用次第ではミゾゴイを守る大きな力となる。活用は個々のケースによって違ってくるが、各地で大いに活用していただきたい。例えば、意外に身近なところに営巣地があることが分かれば営巣地を保全する機運が高まる。何も知らないで営巣地を破壊してしまうことが少なくなる。ミゾゴイの保護が前進する。

また、環境省はギリギリのところまでがんばった。保護方策の対象は、「住宅地等の比較的小さい建築物から大規模な施設の設置やそれらに伴う事業用地確保のための埋め立てや造成」とした。そして、「ミゾゴイ生息地の維持」の章でミゾゴイへの配慮を求めている。たとえば、道路や渓流等の法面工事やそれに伴う斜面林の伐採等によりミゾゴイの営巣環境や採食環境が喪失することが懸念されると記載された。

これさえあればミゾゴイが守られるというものではない。
やはり、地域の皆さんの地道な保護活動が大事だ。
ミゾゴイが人知れず絶滅することだけは避けたい。



posted by mizogoi at 06:26| カテゴリ無し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月19日

環境省ミゾゴイ保護方策検討会第4回(最終回)報告

2016年3月8日、環境省内にて、第4回(最終回)ミゾゴイ保護方策検討会が行われた。
事務局から、先に提出した意見・要望等に関わる説明があった。
そのあと、環境省から次の2点の論点が示され、1時間足らずの討議を行い終了した。

1.ミゾゴイの生息環境の位置づけ
2.開発や整備等の事業においてミゾゴイの生息環境調査を実施する場合

検討会でのわたしの発言要旨は次のとおりです。

<最終回の検討会にあたって>
:まずは、桝係長お疲れ様でした。この保護方策は、本来あと1年かけてまとめるところを約3か月でまとめたということで、大変ご苦労が多かったと思う。ゼロからのスタートでよくここまでまとめられたと思う。ただ、営巣地のとらえ方とか、細部については様々な意見があるが、これ以上の修正は時間的にも難しいと思う。私個人としては、いろいろ意見を出させていただいたが、取り入れられた点もあればそうでない点もあり、必ずしも満足しているわけだはない。しかし、これからは、いかに出来上がった保護方策を活用していくかにかかっている。保護方策を通じて、ミゾゴイを社会一般、行政、開発に携わる方々に広く周知することができれば一定の意義があると思う。

<論点1について>
:本日の論点1のなかに、希少種=生物多様性=指標種というのはステレオタイプという意見があるが、これとはちょっと認識が違う。ミゾゴイは指標種になり得るが、希少種=生物多様性ではない。ミゾゴイは現実的には希少種であるが、ミゾゴイが希少種であろうとなかろうと、ミゾゴイの生息地(営巣地)は、日本の生物多様性の原点だ。ミゾゴイが生息している環境には、鳥類ではアオゲラ、オシドリ、フクロウなどが繁殖し。植物では日本の湿っぽい林に生育しているイチリンソウ、ニリンソウ、サイハイランなどが残されている。そのほかに、モリアオガエルや東京であればトウキョウサンショウウオなど、それこそ多種多様な生物が生育している。これらの生物は、決して珍しい生物ではない。日本中どこにでも見られたごく普通の生物だが、近年では減少している。その中の代表がミゾゴイだ。この意味でミゾゴイの生息環境を保全することは、日本在来の動植物の生育環境を保全することにもなり、その意義は大きいと思う。

<営巣地の保全について>
:原生と原生的とでは意味が違う。改変されていない河岸段丘の林を想像していただきたい。植生から見て常緑のシロダモやシラカシなどのカシ類があり、ヤブツバキなども生育している。そういうところは原生林とは言わないが原自然植生に近いものが残されているので原生的だ。植物群落の遷移がかなり進んで常緑樹が残されて自然度が高い。さらに水辺を好むケヤキやスギの天然林の巨木も残されている。そういう環境がミゾゴイの営巣地だ。「保護の進め方」に載っている写真は営巣の環境を表している一例だと思う。植物群落の遷移がかなり進んで常緑樹が残されている。ミゾゴイの生息地は、川上委員がいっている谷津田が放置されたところも植物群落が進んでいけば、営巣地となりうる。そういう意味では多様な環境がミゾゴイの生息地と言える。しかし谷津田がいまは採餌場であっても営巣地になるには相当の年月を要する。やはり、今残されている自然度の高い原生的な環境を保全することが第一義的に重要だ。

<論点2について>
:ミゾゴイの調査は、一定の知見を持つ人が行うことが望ましい。ある環境コンサルタントと話をした時に、ミゾゴイを見たことがありますか、と聞くと「見たことない、水辺にいるんでしょ」という程度の認識であった。その人は鳥類調査を担当している人。これは一例であるが、ミゾゴイの生態を一定以上に理解している人は少ない。こうした人が調査するとおかしな結果になってしまう。それを基に論議をしても間違った結果になる。
素案に小規模な事業を実施する場合で、典型的な営巣環境を事業の対象区域とする場合とあるが、保護方策にしっかりと目を通している人は典型的な営巣環境を理解すると思うけれども、なかなか典型的な営巣環境を分かる人はいないので、そのページを誘導するとか、典型的な部分を前置きして記述するなどしないと、読んでわからないと思う。

<事務局から全国でどのくらいの人がミゾゴイに関心を持っているかとの質問に対して>
:囀りは単調なので、一度聴いたら他の鳥とは間違えにくいが、聞く機会がないのが実情だ。また、姿・形も他の鳥と見間違えることはまずないが、姿を見つけること自体が難しい。
鳴き声を聞いた、姿を見ただけでは記録にはならない。記録としては、囀りの位置情報、営巣の位置情報そして観察記録があり、画像・写真・録画・録音のいずれかが残されているものに限定している。こうした資料・データを毎年またはときどき送付してくれる人は、全国で20人〜25人ぐらいだ。一方、ミゾゴイに関心をもたれている方は、全国で100人前後だと思う。私事で恐縮だがブログ「ミゾゴイの生態と習性」を公開しているが、一日で50人から70人が常時、閲覧している。季節的に少し多い日には一日で110人から140人くらいが閲覧している。ちなみに、拙著「ミゾゴイ」は、4年間で1700冊ほど買われているので、広い意味で1700人前後の人が関心を持っていると言えると思う。

<昔はどうであったか>
:個体数については、昔は身近に見られた鳥だと思う。ミゾゴイは古名で「うすべどり」とも呼ばれた。臼の周辺にいる鳥、すなわちニワトリに似た鳥という意味だろう。それぐらい身近に見かけた鳥だと思う。昔は農家の庭先や家の周りに落葉を積んで放置した場所があった。また下水道が完備される少し前の昔は、生活排水を溝に流して吸い込みにためて処理をした。だから人家の周辺にはミミズがたくさんいた。ミゾゴイはそのような場所に主食であるミミズを捕りに来たので人々の目に入ったのだろう。巣はそうした人家の奥まった林に掛けられたと思う。いまでもミゾゴイの生息地を探索していると、そのような痕跡が残されているところが少なくない。

<個体数と放置された谷津田について>
:個体数の問題は確かに調査する必要はあるが、過去の記録からみて現在の個体数は激減していることが明白だ。谷津田が放置されて新たな生息地になるかもしれないが、個体数の増減にはほとんど影響しない微々たるものだと思う。やはり大事なことは、今残されているミゾゴイ本来の生息地(営巣地)をいかに保全するかということだ。

(以上、発言の主要な部分を抜粋しました)




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